化石燃料への補助金

世界的なエネルギー危機に対応するため、各国が化石燃料への補助金を積み増している。経済協力開発機構(OECD)と国際エネルギー機関(IEA)の集計では、2021年に前年からほぼ倍増した。ガソリンやガス代への補助などもあり、ロシアによるウクライナ侵攻で今年もさらに勢いを増す。6日、エジプトで始まる国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)を前に、脱炭素と逆行する動きが出ている。 化石燃料への補助金は、温室効果ガスの主要な排出源である化石燃料を使うことを助長する。さらに化石燃料インフラの新たな建設や拡大につながる。今後、何年にもわたって化石燃料を使い続けることになり、再生可能エネルギーへの転換が遅れるおそれがある。 OECDとIEAの分析によると、主要51カ国・地域で、昨年の化石燃料に対する政府の補助金は6972億ドルと前年からほぼ倍増しているという。新型コロナからの経済回復で、エネルギー需要が急増したためだ。 今年はウクライナ侵攻も重なり、燃料価格の上昇がさらにのしかかる。主要国で石炭、石油、天然ガスの生産への補助や、家計を守るとの理由で、消費への補助金を大幅に増やしている。IEAは「22年はさらに鋭く増加する」と予測する。